今日の勝者、5年後の勝者?

ニッカンのデータを見ながら書く、今日の試合の感想。

あえてDF陣から秋田を外して臨んだ名古屋のネルシーニョ監督、対して代表招集や過密日程を考慮して中山グラウ名波佐藤を温存した磐田の桑原監督。この時点で、今日の磐田は「ハナから勝ちに来ていない」のはバレバレ。しかし逆に言えば、川口や河村など、普段からサブで起用されている選手にとっては、自分はスタメンでもできるぞ、ということをアピールする絶好の機会でもある。また、左から服部菊地秀人という3バックも興味深い。ガヴィオンはひょっとして今日がJ公式戦デビューだったりします?

前半は磐田が名古屋陣内に押し込む展開が多い。特に磐田の右サイド、川口信夫は絶好調。対面の中谷では全く歯が立たない。そこに加えて、信夫が引いた時にはそのスペースを森下が埋めるのだが、この森下もなかなかいい。ちくしょう磐田め、補強の仕方が絶妙だな。名古屋は中盤の真ん中あたりで全くボールをキープできず、せっかくボール奪取してもすぐに奪われてしまう。

しかし意外にも先制点は名古屋。8分、コーナーキックから誰かの頭に当たってゴール。一瞬オウンゴールかと思ったけど、マルケスでした。名古屋にとっては最初のシュートがそのままゴールに結びつくというおいしい展開。

これで目が覚めたか、ますます名古屋陣内に押し込む磐田。ところが、今日の2トップ、前田西野から全く得点の匂いがしない。前田はやはり非凡だなと感じさせるテクニックを随所で披露してくれるし、西野は前線でよく身体を張っている(たまに身体の張り方を間違えているようにも見受けられたが(笑))なのにほとんどシュートがない。

ようやく22分、CK前あたりでのファウルで得たFKから最後は成岡の見事なヘディングで同点。これ、確かに成岡をフリーにさせてしまったDF陣にも問題あるんだろうけど、それにしても成岡の高かったこと!川島ではあれは取れないだろうな。

その後は双方ともに攻め手を欠き、なんと前半30分からのシュート数はどちらも0。特に名古屋は、あろうことかウェズレイボランチあたりまで下がってきてボールを奪う場面が多々見受けられ「おいあんたがそこにおったら誰が前線に行くねん!」という状態に。逆に言えば、それだけ名古屋の中盤がボールを奪えなかった、ということだろう。

ハーフタイム。というか、私にとってはメインイベント。グランパス一家による赤鯱團ダンス。萌。萌。ひたすら萌。しかし、こんなのが踊っているすぐ隣でアップしている磐田サブ組の心中はいかばかりか・・・(笑)

後半開始。はっきりと修正を施して来たのは名古屋。ウェズレイが下がりすぎないこと、マルケスとの目まぐるしいポジションチェンジを繰り返すことで、前線でのチャンスが生まれるようになる。特に磐田のボランチがこの変化に全く対応できず、後半12分、マルケスの打ったシュートがポストに当たり、跳ね返ったところをウェズレイ!ゴール自体はかなりごっつぁん気味だが、やはりウェズレイが前線にいるとめちゃめちゃ脅威。

これでがぜん名古屋ペース・・・になるかと思いきや、相変わらずなのが中盤。特に山口慶。いくら若いとはいえ、今日の磐田を相手にあれだけボールが持てない、というのは・・・ウチ(セレッソ)のボランチ勢の手薄さは今さら言うまでもないことですが(自虐)今日の慶の出来ではウチですらスタメン取れんぞ。右サイドの海本とのコンビネーションも悪かった、というよりはほとんどなかったかも。反面、左サイドの中谷と吉村のコンビは、ミスもあるものの全体的にはなかなかよく、特に後半はこのコンビがボールを奪取した後はほぼゴール前でのチャンスにつながっていた。

かくして後半18分、勝負を決定づける名古屋3点目のゴールはまたしてもPA外からウェズレイ。これはもうウェズレイらしい素晴らしいゴール。これこれ、こういうのを見たかったんだよ!ただ、あれは打たれてしまえばゆうべの楢崎でも取れないかもしれないという見事なシュートでしたが、そもそもあの位置で打たれてしまう磐田も問題あり。ウェズレイなら隙さえあればあのぐらいの距離でも余裕で打ってくる、なんてことは服部だってよく知ってるでしょうに。

ここで磐田ベンチが動く。後半20分、後半に入ってからはほぼ消えていた森下に代えて太田、そして前後半を通じてほとんどいなかったガヴィオンに代えて、何かと話題のカレン・ロバート。そのカレン、投入後いきなり見せ場をつくる。ボールを受けたらそのままドリブルで名古屋守備陣を2人、3人と置き去りに。しかし残念ながらシュートまでは持ち込めず。相変わらず前田と西野からはゴールの匂いがしない。というか、総じて「得点を奪う」ということへのこだわりが希薄だったように思う。何せ、リンク先を見ていただければわかるとおり、後半の磐田のシュート数は、30分までは河村の1本だけ。

そもそも、この交代の意図は「1点でも奪い返す」というところにはなかったのではないか?と思う。前述の通り、山口−海本のところを狙えば割と簡単にボールを奪うことはできるので、そこからPA前あたりまで持ってくることはさほど難しくもないのだが、どういうわけかここで成岡もカレンも前田も、信じがたいことに西野までもが(笑)「隙間を通して前線に短いパスを出す」という、いかにも磐田らしいプレーを選択してしまう。

もしかすると、この交代の真の目的は「得点をあげること」ではなく「磐田サッカーを若手選手に身体で覚えさせること」ではなかったか。もともと、今年はACL出場に伴う過密日程もあり、またもともとチーム自体にカップ戦タイトルへの執着があまりないこともあって、桑原監督は今日の試合どころか下手をするとナビスコ杯自体を捨てたのかもしれない。そして、現在の磐田とこれからの磐田を考えると、その選択肢は「あり」だと私は思いました。桑原監督、おそるべし。

閑話休題ネルシーニョ監督が動いたのは後半30分以降。まず31分、パナディッチに代えて秋田投入。私のすぐ近くで見ていたおにいさんは思いっきり不満げだった(笑)が、パナの年齢と中2日3連戦の初日であることも考え、あまり無理をさせたくはなかったのだろう。もちろん秋田だって、ただの守備固め要員に成り下がるつもりもあるまい。交代直後、これが通ればチャンスだったというパスを倒れ込みながらのヘディングでクリアしたプレーなどはまさに秋田の本領発揮。ただし、スピードで抜き去ろうというプレーに対する対応の遅れや、ファウルの取られ方などもまた秋田の本領ではある(笑)で、秋田が入った直後の32分、PAラインあたりでウェズレイの出したパスを中谷が綺麗に入れて駄目押しの4点目。

決して秋田が入ったからではなく(笑)前述の「磐田サッカー」若手版がようやく機能し始めたおかげで、この4点目以降、磐田がようやくシュートを打つようになってきた。しかし、いずれもシュートコースが簡単過ぎたり、スピードが足りなかったりしていずれも川島がしっかりと押さえる。一方、この時間帯で海本が決定的なチャンスを実に4本も逃している。いずれも「駄目でもいいから即打て!」という場面でワンテンポ遅れたり、逆に「そこはまだDF詰め切れてないから落ち着け」という場面で慌てて打ってしまったりと、どうもPAエリアに入ってから慌てる傾向があるもよう。つまりはそれだけ決定機には絡めてるだけに、もったいないといえばもったいない。

後半も残り10分を切り、ネルシーニョ監督はここでようやく山口を下げて中村、さらに大野を下げて岡山(!)を投入。これがずばり的中して41分、岡山が駄目駄目押しの5点目。たしかこのゴールにもウェズレイが絡んでた気がするのだが。それにしても、いかにメンバー落ちとはいえ、磐田が5失点する現場を目撃するとは・・・なんともはや。ちなみに、このゴールが決まった後のキックオフ、岡田主審は名古屋の選手が戻りきってないうちから始めさせてた。あかんやん(笑)

これで終われば名古屋としてはパーフェクト、だったのだが、試合終了直前、川口がドリブルでPA内に持ち込み、ゴールラインぎりぎりのところで倒されてPKゲット。このファウルを犯したのが海本。なんか、ラスト15分の海本は最悪だったな・・・。これを服部がキャプテンの責任として冷静に決めて5-2。この時、自分でPKを入れた後すぐにゴールマウスに駆け寄ってボールを拾い、走ってセンターサークルに戻ろうとした服部は「さすが」だと思った。

結局5-2で試合終了。MOMはもちろんウェズレイ。いっそハットトリックやってほしかった(笑)一方、磐田も今日に関しては「覚悟の敗戦」というか、もし少しでも勝つ気があるのなら、あのメンバーはないよな、という感じだったので、サポの人も「まぁ、しゃあないか」という感じだったように思う。ひょっとしてひょっとすると、5年後ぐらいに今日出場したメンバーが磐田の屋台骨に成長してて「思えばあの連中が最初に同じピッチ内でたたかったのって、04年のナビスコ名古屋戦だったんだよなぁ。あの時はひでぇ試合してたのに、今となっては・・・」なんて感慨にむせぶ日が来るのかもしれない。来ないかもしれないけど(笑)

ただし、GK山本だけは別。山本がシュートを止めた、という場面をほとんど見れなかった。たぶん枠内シュートは1本を除いて全て得点に結びついている(ちなみに除いた1本というのは海本のシュート(笑))佐藤洋平が移籍してきた今、磐田で彼のプレーを見ることはおそらくもうないのだろう。