読んだものを淡々と記録するよ

ふと思いついたので書いてみる。次はあるかもしれないし、ないかもしれない(笑)

福岡に行く途中の新幹線内で読了。宮部さんのミステリ(以外のは読んでいないので)には2パターンあって、ひとつは10代半ばの少年・少女(こっちはまれだけど(苦笑))が主人公、もしくはそれに準ずるポジションに据えられているタイプ、もうひとつは「火車」に代表される、いわゆる「社会派もの」を宮部流にアレンジしたタイプ。あ、でも「クロスファイア」はこのどちらでもないなぁ。で、世間、というかミステリファンの間で評判が高いのは明らかに後者。しかし、私が読んで面白いのは断然前者です。これは多分、宮部さんが前者を書く場合にものすごく「読後感」を大切にしているためだと思うのですが。後者のももちろん「読後感」を意識しているんだろうけど、例えば「火車」のエンディングが「うわ、そこで終わるか!」という衝撃的なものであるのに対して、前者のもの、例えば「魔術はささやく」なんかだと不思議と爽やかさが残る。この爽快感が宮部ミステリのひとつの魅力なんだと思う。

で、この「今夜は眠れない」も宮部ミステリのご多分に漏れず、実に爽快なエンディング。ただし、この場合の爽快さはエンディングだけではなくて、物語の中盤で起こる事件そのものの鮮やかさにも起因するのでしょう。

それにしても主人公の親友・島崎の存在は面白い。しかし、こんな中学生がリアルにいたらちょっとどころじゃなく嫌だ(笑)

恩田陸といえば、本好きの人なら「六番目の小夜子」か「三月は深き紅の淵を」がすぐ思い浮かぶでしょう(どちらも読了)ジャニーズファンなら「ネバーランド」あたりか(笑)

「麦の〜」は、その「三月〜」と密接な関わりを持つ物語。かといって「三月〜」の続編というわけでもない。しいていうなら「三月〜」に内包される物語、とでも言うべきか。まぁ、どういう意味かは実際にこの2作を読んでみてください。正直、「三月〜」は、例えばファンタジー=剣と魔法の世界、みたいな固定観念を持っている人には「???」だと思いますが、これも立派なファンタジーのひとつの形です。

「麦の〜」の感想は・・・さすがというかやはりというか、見事なまでに「恩田的ノスタルジー」の世界。校長の存在が微妙に不気味。この物語の中でのヒーローは黎二ということになるのだろうけど、その黎二の人物像の掘り下げが少し甘かったのが残念。

この「麦の〜」のさらに後日談的な話が今年になって出版されているらしいので、また読んでみるか。

それにしても、恩田さんはきっと作家であり続ける限り「三月〜」を書き続けていくのだろうな。

8編の「超〜殺人事件」の物語が収録された、しいていうなら短編集。なんで「しいていうなら」なのかと言えば、それぞれの物語がかなり特殊だから。はっきり言って、2作目まではかなり「投げつけ系」*1だった(笑)勝手な話だが「名探偵の掟」「名探偵の苦悩」的なものを期待していただけに余計。この人はミステリ作家でありながら時々「アンチ・ミステリ」なものを書くのだが、この本は「アンチ・ミステリ」ですらない。

それでもこの本を投げつけずにすんだのは3、5作目が比較的面白かったのと、8作目に少し考えさせられたから。私が中高生だった頃、本当にいたもんなぁ、あらすじと解説だけで読書感想文書くやつ。

“読書って一体何だろうな”

*1:読んだ後、壁に向かって投げつけたくなる本のこと。